神奈川県川崎市多摩区登戸にある半ざむ向ヶ丘遊園本店の横山です!
今回の羽毛布団のお仕立てのご依頼をいただいたお客様は、元々はオーダー枕を作りにご来店された方です。
オーダー枕にご興味があるかたはこちらをご覧ください。
⇒ 半ざむのオーダー枕
ちなみに、ものすごく余談ですが、そのお客様は当店で1番人気の《SOS枕 Sleep On Sheep》をご購入いただきました。
どんな枕か気になる方はこちらも併せてご覧ください。
⇒ 枕取り扱い一覧
オーダー枕の話をもっと詳しくしたいところですが、またの機会にとっておいて、羽毛ふとんのリフォームの話に戻しますね。
20年以上ご使用のダブルロングサイズの羽毛布団をリフォームした事例
何でオーダー枕を作りにご来店されたお客様が羽毛ふとんのリフォームをご依頼されたかというと・・・
オーダー枕をご購入いただいた後に、「他に、今ご使用の寝具で何かお困りごとはありませんか?」と質問したところ、「羽毛布団が20年以上使っていて生地が破れてきてしまったので、直したい。」
「今、ダブルサイズに一人で寝ていて重いので、シングルサイズにサイズダウンもお願いしたい。」との事で、羽毛ふとんのお仕立て直しをする事になりました。
通常は羽毛ふとんの状態を見てからお話するのですが、今回はその場でリフォームの工程の説明などをさせていただきました。
同時に、羽毛ふとんをリフォームする際の、新しくお仕立てする側生地の実物サンプルも見てもらいながら、先に側生地だけ決めて、後日、ご自宅にお伺いして羽毛ふとんの中のダウンを診断して最終的なお見積りを出す事になりました。
商品タグが印滅していてもしっかり診断するので問題ございません
実際に、ご自宅にお伺いして羽毛ふとんを診させていただくと、20年使用という事でしたが、ボリュームもあり、お仕立て直しは問題なさそうでした。
ネームタグを見て丸八真綿さんの羽毛ふとんという事は分かりましたが、品質表示タグは印滅していて詳しい情報はほとんど分かりませんでした。
品質表示タグは10年以上使用の羽毛ふとんだと、印滅して読めなくなっている事がほとんどなので、しっかりと診断していきます。
通常の羽毛ふとんは側生地を1枚でお仕立てしますが、こちらの羽毛ふとんは、普通の羽毛ふとんと同様に仕立てられた生地の上に、刺繍を施したシルク生地をもう1枚重ねて仕立てた、2重構造の側生地になっていました。
シルクの生地はコットンと比べると重たいうえに、2重構造になっている事で側生地だけで相当な重さになっていたと思われます。
生地の状態ですが、シルク生地の特性上、長年使用するとすだれ状に裂けてきてしまいます。
カバーを掛けて使用していてもどうしても起こってしまう現象なので、今現在、シルク100%やシルク混の側生地で仕立ててある羽毛布団をご使用の場合はその事に注意して、避けてしまう前に羽毛ふとんのリフォームを検討してみてください。
初見の通り、羽毛ふとんのボリュームはまずまずでしたので、中のダウンをしっかり診断して最終的なお見積りをしてきます。
ダウンのダメージ状態を確認!
取り出したダウンがこちらです。
20年使用してきたダウンですが、汚れによる変色はそれほどなく、大きいダウンもそれなりに残っていました。
長年使用した羽毛ふとんは側生地だけではなく、中のダウンにもダメージは蓄積されていきます。
長年使用したダウンのダメージが分かりやすい形で現れるのが、ダウンの保温力の要ともいえる、タンポポの綿毛のような『ダウンボール』がちぎれる『ファイバー化』と、『ダウンボール』同士が絡み合ってお団子のようになる『玉ダウン』という2つの現象です。
ファイバー化と玉ダウンについてもっと詳しく知りたい方はこちらから。
⇒ ダウンの種類と違い
ちぎれてしまったダウンも多少はありましたが、どちらかというとダウン同士が絡み合って出来てしまう、『玉ダウン』状態のダウンが目立ちました。
ダウン同士が数個〜数十個雪だるま式に絡み合っていくので、徐々に、羽毛布団のカサが出にくくなってしまいます。
ですが、この『玉ダウン』は半ざむの羽毛リフォーム(プレミアムダウンウォッシュ)でほぐす事が出来るのです!
プレミアムダウンウォッシュの工程
ここで、プレミアムダウンウォッシュの工程をざっくり説明させていただきますね!
- お布団の生地を裂いて中のダウンを吸い出す
- チリや傷んだ羽毛を取り出す
- ダウンを専用の洗浄機で洗濯して汗や汚れを洗い流す
- 150℃の高温で一気に乾燥させて殺菌。ダウンのパワーも復活
- 冷ましながら、羽毛の奥に残っていたチリを除去
- 縫製職人が布団の側生地をご希望の生地・サイズ・キルトで仕上げ
- 側生地に洗って乾燥させたダウンを詰める(必要に応じて新しいダウンの足し羽毛)
- 厳重に検品後、納品
といった工程でお仕立て直ししていきます。
この工程の②で『ファイバー化』したダウンを取り出し、③で『玉ダウン』をほぐします。
診断の結果、ファイバー化したダウンより、玉ダウンの方が多く、プレミアムダウンウォッシュでお仕立て直しが可能でしたので、お見積もり後、ご注文いただきました。
シングルロングサイズの羽毛布団にお仕立て直しが完成!
元々掛けていた羽毛ふとんに比べると、少しボリューム感が減って見えるかと思いますが、その秘密はこの後でご説明しますね。
リフォーム内容
- ダブルサイズ??㎏→シングルサイズ1.2㎏
- プレミアムダウンウォッシュ
- 新しい充填原毛:ハンガリー産ホワイトグースダウン93%を300g充填
- 新しいお仕立て側生地:綿100%(ラムコ100単サテン織)
- 側生地のキルト(マス目):6×8マス=48マス
- 仕上がりダウン重量:1.2kg
側生地は前述の通り、半ざむの店舗で実物サンプルを触ったり掛けたりして比べてもらい、ラムコ100単のサテン織という糸番手の細いしなやかで軽い生地を選んでいただきました。
ちなみに、ラムコというのは、綿の中でも細く柔らかい、繊維の長さが35㎜以上の超長綿の一種です。(通常は繊維の長さが20㎜台の綿がほとんど)
特徴としては、
- シルクのような上品な光沢
- 繊維の一本一本が細く長いため、糸がしっか絡まり毛羽立ちにくい
- 他の綿花に比べ天然の油脂分が多いため、独特の柔らかいしっとりとした風合
などがあります。
100(単)というのは簡単に説明すると、糸の細さの目安を表す番手というもので、数字が大きくなるほど糸が細くて柔らかくなり、生地自体が軽くなります。
半ざむでは60・80・100・150の番手の糸を使った生地をご用意しております。
サテン織というのは生地の織り方で、光沢がありしなやかな生地で柔らかい風合いで人気です。
最後に、出来上がりの写真で少しボリューム感が減っている様に見えた理由ですが、その秘密はズバリ『キルト』にあります。
羽毛ふとんは、よっぽど特殊な製品でない限り、何マスかの部屋に分かれてダウンが入っています。
これは、ふとんの側生地の中でダウンが偏るのを防ぐという意味があります。
通常、シングルサイズでは横4マス×縦5マスの20マスが一般的です。
ただ今回は、なんと、横6マス×縦8マスの48マスでお仕立てしております。
マスの数が多くなるという事は、マスの大きさが小さくなるという事です。
通常の2.4倍のマス目にするこのキルトの特徴は・・・
- 側生地の中でダウンが移動しにくいので偏りが減る
- マスが小さいので、その中でもダウンが動きにくいので、傷みにくくなる
- マスの区切りが細かいので体から浮きにくくフィット感が増すので、ダウンの量が少なくても保温力が高く温かい
- 軽くてかさばらないので掛けているときは体に負担をかけにくく、オフシーズンに収納するときも省スペース
といったメリットがあります。
半ざむでは、この48マスのキルトを生かした少し軽めの羽毛ふとん『ライトダウン48』というシリーズの製品をオリジナルで販売しております。
興味のある方はぜひ、48マスのキルトの凄さを体験しに来てみてくださいね。
今回の羽毛ふとんリフォームのお客様は、半ざむの店舗で実際の羽毛ふとんを掛け比べしていただき、後日、ご自宅でお客様と一緒に羽毛の状態を見ながら診断し、何パターンかお見積もりを出した中からご納得行くものを選んでお決めいただきました。
大切な羽毛布団のお仕立て直しを半ざむにお任せいただいてありがたい限りです。
ふっくら綺麗に仕上がった羽毛布団で「リフォームして良かった」と思いながら快適にお休みいただければ幸いです。
半ざむでは年間約200枚程羽毛布団のリフォームを承っております。
今回の様に、東京西川製品が多いですが、他のメーカーの羽毛布団はもちろんですが、最近では、大塚家具さんのダウナ・ダウナプレミアムなどのリフォームもご相談を受けることが増えております。
その他、アイダーダウンの様な特殊な羽毛のリフォームも承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください!